2020年に戦後最大の教育改革といわれるものが導入される予定ですが、日本もやっと重い腰を上げ始めたということでしょうか。
改革の中には大学入試の改革や小学生への英語教育などが含まれますが、その根底にあるものが、今までの教育では今後の世界で生き残る人材を育成できない、つまり役に立たないという背景や実情が如実に明らかになってきているからです。
AI、ITの進化、世界各国の経済MAPなど過去にないスピードで急変している中、明日には何が起こるかまったく読めず、会社経営者や投資家などの頭を悩ませています。
また、10-20年後には約半分の職業が機械により代替えされ、アメリカでは65%の小学生は現在存在しない職業に就くであろうとの予測もされていますし、外国人の採用をしている企業割合も現在の1/3から半数以上とグローバル化も進んでいきます。
こういった環境変化で生き残っていくためには「学ぶ」だけではなく、「学んだ知識を活用、応用し何ができるのか」「どのように社会や世界と関わり生きていくのか」などより踏み込んだ思考を育成する教育に変えていくことが重要とされ、教育の改革が行われようとしています。
また、こういった改革の趣旨と並行し教育の場にもICT化が推進され、電子黒板やタブレット端末の導入と教科書のデジタル化などの導入を進めていく方針とされています。
今回はこういった背景を加味しつつ、最近利用者が増加している「RISU算数」タブレット学習に関して評判など考えてみました。
目次
りす(RISU)算数の概要と開発者の目指すもの
幼稚園の年中から大学受験までのレベルがあり、学年や年齢という括りではなく、習得レベルに応じた課題に取り組む無学年方式で学習を進められることが特徴で、75%の子供が学年より上のステージを先取りして学習をすすめている実績があるようです。
「RISU算数」はRISU Japan株式会社が経営する教育事業で、タブレットを利用した教材をベースに東大生など有名大学生らの個別フォローを売りとした算数に特化した学習サービスです。
ここでは「RISU算数」教材の全体イメージの把握を目的として、「開発者の考え」を掻い摘んで紹介します。
学習システムには、開発者の教育に対する考え方が反映されており、興味深い内容もありますから参考にしていただければと思います。
学校は何も進歩していない
子供はそれぞれ成長の早さ、性格、関心ごとや才能が人それぞれであるのに対して、学校のカリキュラムは「すべての子が同じ年齢で同じ内容を同じペースで学ぶ」というスタイルから抜け出ておらず、依然として学校は黒板、チョーク、時間割など100年余り何も進歩していない。
これだけITの進化が進んだ現在においては、子供の学習データを個別で分析し、それに合わせた学習内容の提案をしていくことが可能であるはずで、政府や親がしないのであれば自分が変えていくしかなく、これが「RISU」に反映されているとの開発者の主張です。
算数に科目を絞っている理由
開発者は勉強の科目には世界史などの「水平科目」と数学、英語、物理などに代表される「積み上げ科目」というものに分けられ、「水平科目」は水平的に知識習得する科目であるため、高校受験をする場合でも5-6年生から勉強してもその習得に問題ないとしています。
一方、「積み上げ科目」は学習の積み重ねによって初めて高度な事象が習得できるといった科目であり、文字通り積み重ねの学習による知識向上や思考力がないと次に進めない科目であるため、早期からの学習が非常に役立つとしています。
こういった学習の積み上げで今まで深く理解ができていなかった項目などが1年後に頭の中でつながるなどの体験をすることで更に理解度や応用力が身に付きモチベーションにもつながるものとしているようです。
応用問題こそ考える力を育む
開発者は公文式学習を尊重していますが、公文の問題が計算主体であるのに対して、RISU算数は計算問題に加えて応用問題を重視しています。
その理由は、今後社会で生き残るために本当に重要なものは知識の応用や課題の捉え方に代表される理解力や洞察力であり、こういった観点がこの先の教育や受験試験に反映され、力の差がつく点だといいいます。
このため、RISU算数の学習では1学年で学習する学校の国語の教科書1年分より算数応用問題の文章量が多く構成されているほどです。
子供の学習進捗に合わせる教育学・最近接発達領域
RISUは教育学的に「最近接発達領域」という考え方をベースにしいるとのことです。
「最近接発達領域」という考え方は、ざっくり言えばレベルに合わない勉強を押し付けるほど無意味であり、子供には簡単過ぎず、且つ難し過ぎない課題に取り組めるように配慮したものです。
心理学的には、人が何かに没頭するためには、「問題のレベル」と「自分のスキル」がちょうど拮抗していることが必要という観点を重視し「背伸びをすれば手が届く」レベルの問題」を子供にとって最も有効なタイミングで提案することに重きを置いています。
その手法が、AIを駆使した子供の学習状況や成績の分析であり、つまずきやすい課題の統計的なDATAというわけです。
つまり、こともがどの課題でどれぐらいの正解率であったか、どれぐらいの時間を要したかなどのDATAをはじめ、躓いた問題の解決しやすい解説動画を送るなど、学習の補助を継続し、次のレベルに導いていくというものです。
こういったシステムであるために、算数の得意な子供は次のステップへ能力を進めてあげることが可能ですし、苦手な子は躓いているところを埋めてあげることで子供のモチベーションが向上し、学力が向上する仕組みを採用しています。
りす(RISU)はティーチングであり、コーチングは親の役目
開発者はRISUでできることはティーチングを手助けするものであり、子供のコーチングはやはり親に責任があると断言しています。
RISUは利用者の保護者に「この子はここまでできていますからこんなふうに褒めてあげてください」とメールを送信するのですが、メールを見ていない家庭の学習効果の平均は低いそうです。
また、開発者が親に対して子供にしてほしいと望むことは、モチベーション・コントロールに関連した「なぜ勉強するのかを教える」ことであったり、「子供に本当に必要なことは何か」を今一度真剣に考えることであったり「一緒に遊んであげること」と主張しています。
つまり、子供の勉強に対してあれこれ指図したり介入することではなく、子供の好きなこととか、得意なこと、伸ばしてあげたい面を一生懸命考えながらも、共に遊んだりする時間をとることがコーチングであり、決して親世代が受けた教育の価値観や無意味な教育ルールを子供に押し付けることではないと言っています。
タブレット学習の評判
一方、タブレットを使用した学習には賛否両論意見があるようです。
ここでは、タブレット学習の経験のある子供を持つ親の意見を紹介させていただきます。
RISUに関するものばかりではなく、一般的にタブレットを使用した学習に関するものを含んでいますし、ポジティブ、ネガティブな境界もはっきりしないため羅列式に記載しますが、総じて気になるのは親が子供に与えるだけで終わってしまっているという点です。
RISUの開発者も言及していますが、結局親が変わらなければ子供も変わらないのかもしれません。
・タブレット一つで実践できるのでリビングや車の移動中など気軽にできる(勉強が重いものではなく気軽なものになる)
・子供はタブレットが大好きなので熱中してやっている
・やった分だけすぐに結果が見て取れるので子供にとっても努力が目で見てわかるのが良い
・子供の進捗を聞かなくても親は把握できる
・図解や写真、動画など大人が見ても直感的に理解しやすい
・辞書や辞典など疑問を一つの端末で対応できるのが良い
・操作だけの学習となってしまい実力が上がらない
・やっぱり紙ベースの学習でないと頭に残らない。
・書くことで自分の考えを整理することができ、人に自分の意見を伝える力のつくのではないか
・タブレットは目に悪い
・勉強以外のサイトを見るのが監視できない
・すぐに飽きてしまった。
・一人で取り組むタブレットより進学塾のほうが友達も多いので勉強のモチベーションがでている
りす算数の評判・口コミは?タブレット学習について考えてみた。まとめ
タブレットは現在存在するデバイス、ソリューションの一つであり、タブレット学習を与えれば激変する次世代で必要とされる人材になれるわけではありません。
本質的なことは子供をどう育てるかがポイントで、こういった観点においてRISU算数の開発者の思いには共感する部分は多いと感じました。
すこし取り留めのない内容になってしまいましたが如何でしたでしょうか。
RISU算数の開発者の言葉を借りれば「これからの時代を生き抜く子どもを育てるために、親は従来の常識に立ち向かい、子どもにとって最善の行動を取るべき局面がありうる」ということですが、確かに「先生の言われた通りそのままやる人」や「人と同じような回答しかできない人」はこの先必要とされる人材ではないことは親としての皆さんもお気づきになっているのではないでしょうか。
子供は親を見て育つのはこの先も変わりありません。
その親が楽しく生きている、チャレンジしている、生き生きしていることで子供も本質的な部分において自分で考えて行動することができるようになるのかもしれません。
結局タブレット学習を生かすも殺すも親のコーチングにかかっていることは頷けます。